この世界には、どうしても気に入られない人がいるものだ……
昔なら、あるいは他の人だったら、墨霆はおそらく気にも留めなかっただろう。彼は誰よりもよく知っているからだ。大衆すべてを満足させるのは不可能な任務だということを。
お金でさえ、この世界には好まない人がいるかもしれない。
しかし、このような疑問の話題が一度唐寧に向けられると、墨霆は心の底から妻を自慢したくなる衝動が湧いてくる。そのため、安子皓たちと相談した後、墨霆は『おろかな弟子』の今後の上映の前に、『奇妙な夫』の予告編を流すことにした。
『奇妙な夫』の制作サイクルによると、公開時期は来年の初めころだが、現在、映画全体はまだ秘密の状態だ。『おろかな弟子』の盛り上がりに乗じて、この時期に『奇妙な夫』の予告編を出すことは、第一波の宣伝を行うことに等しい。
そして……
「なんてこと、これは何の映画の予告編？すごくスリリングで、体中が燃えそうだよ！」
「災害映画！OMG！また海瑞の作品か……見たい、見たい。」
「ママミア、主演は北辰東！私の東、北辰東が変態役を演じる、めちゃくちゃ興奮する。」
「ねえ、気づいた人いない？この女優、どこかで見たことあるような気がする。唐寧じゃない？うわ。」
一夜にして、『奇妙な夫』への言及量は、すぐにゼロからネットの人気トップ10に躍り出た。さらに、映画館で『奇妙な夫』の予告編を撮影してネットにアップロードする人まで現れた。わずか35秒の予告編が、最大限にファンの期待を煽った。鮮明な予告編を見るために、多くのファンが直接『おろかな弟子』のチケットを買い、映画館で災害が迫る雰囲気を体感しようとした……
そして、予告編の中で唐寧が嵐の中を行き来し、必死に演技する姿に、多くのファンが興奮を隠せなかった。
「北辰東の映画は必見だ。あの変わり者は良い脚本しか選ばないし、それに、唐寧の演技も足を引っ張っていない。楽しみだ！」
「林聲のファンはすぐに顔を赤らめることになるだろう。うわ、海瑞のこの手は本当にすごい……情報でファンの顔を赤らめるのではなく、直接作品で打ち負かす。誰が唐寧は主演できないと言ったの？最高に爽快だ、ハハ！」
