「唐寧の調子がいいかどうかは、あなたが決めることではありません。自分のことを気にかけたほうがいいでしょう」と言って、方煜は立ち去ろうとしたが、ドアのところで振り返って言った。「メディアと記者たちはあなたから目を逸らすようにしてあります。出て行くなら今がチャンスです」
甄曼妮は方煜を見て、突然笑い出した。「あなたも私のお尻と胸が好きで、私を手に入れたいの？」
方煜はそれを鼻で笑った。「夢でも見ているのか？」
甄曼妮は自嘲気味に微笑み、体を支えてベッドから降りようとした。「方煜、CICIはもういいわ。ただひとつだけお願いがあるの。家まで送って」
6年の付き合いがあるのに、接点が少なかったとはいえ、こんなに冷たくする必要はないだろう。
方煜は少し考えてから、頷いた。「服を着替えて」
甄曼妮はすぐに変装し、方煜の助けを借りて無事に病院を出た。しかし、方煜が彼女を家まで送り届けたとき、甄曼妮の家の中は散らかり放題で、価値のあるものはすべて持ち去られていた。言うまでもなく、これは夏琳の仕業だった。
夏琳だけが甄曼妮のアパートの鍵を持っていたのだ。
そしてこの瞬間、甄曼妮はついに何もかも失ったことを実感し、地面にしゃがみ込んで崩れ落ちた。
方煜は義理で彼女の手を引っ張ったが、この一瞬の行動が、向かいのビルで望遠レンズを構えていたパパラッチに撮られてしまった。
すぐにネット上でニュースが爆発的に広まった。海瑞芸能人総監督の方煜、霍菁菁に続いて甄曼妮も、一石二鳥を楽しんでいる！
さらに悪質なのは、方煜がタレントを枕営業させ、落ちぶれた元モデルに手を差し伸べたのは実は肉体取引の疑いがあると指摘するものだった。
しかし、どう言い訳しても、方煜が甄曼妮の手を引っ張った写真は真実だった。
……
唐寧がこの芸能ニュースを見たとき、霍菁菁のアパートにいた。方煜が甄曼妮の手を引っ張る写真が画面いっぱいに拡大されていて、唐寧は思わず霍菁菁の方を見た。
霍菁菁はあまり何も言わず、ただテレビを消した。うるさいからだと。
「菁菁、方煜はそんな人じゃないわ」
