実際、カエイスタジオの記者も会場にいて、彼は自分を一躍有名にしてくれるアーティストを探していた。
唐寧はずっと控えめでクリーンなイメージで知られていたが、前回アメリカで唐寧と男性が親密に別れる場面に遭遇して以来、彼の心に深い印象を残していた。今回ロンドンに来て、彼は唐寧とその男性の親密な関係を撮影し、証拠を手に入れられると確信していた。
もちろん、先ほどのパパラッチが唐寧を執拗に撮影していた行為に対しては、彼は軽蔑の念を示した。
太ももを触られただけの素材なんて。
低レベルな話題作りにしか使えない!
彼が撮りたいのは、唐寧と男性が絡み合う決定的な証拠だった。だから彼のホテルの部屋は、唐寧の部屋の向かい側だった。
……
ロンドンの11月は、セイキョウほど寒くなく、コートひとつで寒さをしのげた。
ホテルに戻る道中、唐寧は目を閉じて休んでいた。龍姉さんは彼女の前にしゃがみ、マッサージをしながら、心配そうに彼女のふくらはぎを揉んだ。
長時間ハイヒールを履いていたせいで、唐寧の脚の筋肉は本当に固くなっていた……
ホテルの地下駐車場に入ったとき、安子皓が先に車を降りた。黒いコートを着て斜めにスポーツカーに寄りかかっている墨霆を一目見た瞬間、彼は思わず立ち止まった。
唐寧はすでに眠っていた。続いて龍姉さんが車から降り、唐寧を起こそうとしたが、墨霆は「シーッ」というジェスチャーをして、身をかがめて唐寧を後部座席から抱き上げた。
彼女を安定して自分の腕の中に抱きかかえた。
「このホテルは安全じゃない。彼女を邸宅に連れて行く」
安子皓はうなずいたが、それでも一言付け加えた。「明朝7時から仕事が始まります」
「明朝迎えに来てください。住所は携帯に送ります」
そう言うと、墨霆は唐寧をスポーツカーに乗せ、素早く去っていった。
安子皓は墨霆の「ホテルは安全じゃない」という言葉を思い返し、今日教会で遭遇したパパラッチのことを思い出した。マネージャーとして、このような豊かな想像をするのは非常に不本意だったが、斓兮がこのようなことをしでかすことは十分あり得ると考えた……