「元恋人とはいえ、5年間付き合った仲だ。別れたとはいえ、元カノを傷つける理由なんてない」
羅昊はTQ雑誌の表紙に載っている唐寧を見て、一瞬、世界的スターを逃したような気がした。だから彼は手を伸ばして雑誌をひっくり返した。次の瞬間に後悔しそうで怖かったかのように。
楊婧はそれを見て安堵の息をつき、腕を組んで言った。「それならあなたにも種明かしをしておくわ。以前から李昱を追っていたパパラッチと連絡を取って、唐寧と李昱のベッド写真をスクープとして流すことにしたの。似たような写真も用意してあるわ。あなたも斕社長の意向に逆らったんだから、私たちは唐寧を完全に落とすしかないわ。そうすれば斕社長もあなたの責任を追及しないはずよ」
羅昊はいつものように自分のパソコンを操作しながら、右手の指でマウスをクリックし、冷たく皮肉な口調で言った。「私たちじゃなく、君だ。それに、これが最後だ。もう二度と僕たちの過去を利用して、君の目的を達成しようとするな。僕は唐寧を一度だけ止めるつもりだ。これからどうなるかは、状況次第だ。だから、君がどうしようと君の勝手だ。僕には関係ない」
「あなた...」
「道が違えば共に謀らず。他に用がなければ出て行ってくれ。忙しいんだ」
羅昊は明らかに追い出す意思を示した。楊婧もこれ以上留まるわけにはいかなかった。実は、彼女はまだ羅昊のことが好きだった。しかし、二人は多くの点で意見が合わなかった。楊婧は底なしで、目的のためならどんな手段も厭わなかったが、羅昊は彼女のそういった卑劣な手段を非常に軽蔑していた。そのため、ここ2年間、二人の関係は水と油のようになっていた。
楊婧は羅昊のオフィスを出るとすぐに、以前唐寧を脅迫したパパラッチに電話をかけた。「もう待てないわ。情報を流して」
「了解です。いい芝居になりますよ」相手の声は少し興奮しているようだった。