これは9月の最後の日で、年間モデル大賞の授賞式も今夜7時に開催される。
唐寧は授賞式のゲストとして、有名なアーティストでもあり、年間トップ10モデルの審査員でもある李昱氏と一緒にレッドカーペットを歩く予定だ。
龍姉さんが李昱という名前を言ったとき、唐寧が最初に思い浮かべたのは、きらめく夜での、濁った目をした汚らしい中年男性、李昱だった!
なぜ彼なのか?
傍らの龍姉さんは、まだ授賞式の注意事項を延々と話し続けていたが、唐寧の心の中では非常に強い拒絶反応が起きていた。「龍姉さん、隠しカメラを用意してもらえませんか?」
「カメラ?そんなものはないけど、録音機能付きのブローチならあるわ。どうしたの?」
「この李昱という人は、心がよくないんです。」唐寧は顔を上げて龍姉さんを見ながら言った。「業界では彼についての噂が前からあります。今回、組織委員会に彼と一緒に入場するよう手配されたので、用心せざるを得ません。」
「わかったわ。後で用意しておくわ。」龍姉さんは一瞬考えた後、反応し、さらに少し悔しそうに自分の頭をかきながら言った。「唐寧、あなたはもっと優秀で、もっと細やかな助手に値するわ。私は今、あなたの足を引っ張るだけだと気づいたわ。」
「ここ数年、あなたは十分良くしてくれました。私には他に望むものはありません。」
賢明なマネージャーチームは無敵かもしれないが...必ずしも彼女と心を一つにするとは限らない。
龍姉さんのような人が、ちょうどいい。彼女が今必要なのは、有能なマネージャーで、墨霆の手中の仕事を引き継ぐことだ。彼女は墨霆に何もかも自分でやってほしくない。そうすると疲れすぎてしまう。
二人は目を合わせて笑い、心を通わせた。そのとき、陸澈から龍姉さんに電話がかかってきて、唐寧にエンターテインメントニュースを見るように言った。
龍姉さんは困惑した表情でテレビをつけると、すぐに墨雨柔が生き生きとした様子でカメラの前でインタビューを受けている姿が映った。
「墨雨柔が新事務所と契約、天藝との縁切れ!」
「クリエイティブ・エイジの新人アーティストが明らかに、やはり唐寧ではなく彼女だった?!」