車に乗ってから、冷少霆はすぐに発車せず、お弁当箱を取り出して顾宁に渡した。「朝食だ。自分で作ったんだが、口に合うかどうかわからない」
顾宁は驚いて彼を見つめた。彼が朝食を用意してくれたなんて予想外だった。しかも自分で作ったものだ。
その瞬間、顾宁は感動で鼻がツンとした。
冷少霆はあまり笑わず、口下手な人だが、実際の行動で彼女への思いやりを証明していた。
「自分で作ったの?すごく気が利くわね」顾宁は冗談を言いながら、お弁当箱を受け取り、「ありがとう」と感謝した。
それを聞いて、冷少霆は顔を赤らめ、少し照れた様子だった。
「いいんだ」と冷少霆は言った。
ありがとうと言わなくていい、そんなに他人行儀にしなくていいという意味だった。
そう言うと、冷少霆は顾宁に牛乳を渡した。顾宁はそれも受け取ったが、今度は「ありがとう」とは言わなかった。
顾宁は牛乳を置けるところに置き、お弁当箱を開けた。
中は二段になっていて、上段は二つに仕切られていた。一つにはスイカとリンゴが数切れ、もう一つには目玉焼きがあったが、果物も目玉焼きもハート型に切り抜かれていた。
顾宁はまた驚き、冷少霆を見つめた。
これは、本当に心がこもっているんだ。
冷少霆は真面目な顔で車を発進させ、運転に集中していたが、横目で顾宁の視線に気づいていた。まるで悪いことをしたかのように、顾宁と目を合わせるのを避けていた。
顾宁の視線もほんの数秒で戻り、下段を開けた。そこには皮蛋入りの豚肉粥があり、上にはネギが散らしてあった。これもハート型に盛り付けられていた。
これは特別珍しい料理ではないが、顾宁の心を本当に動かした。
冷少霆の運転は安定していて、顾宁が食事をしていることを考慮して、あまり速く走らなかった。そのため、顾宁は不快感を感じることはなかった。
学校に着く前に、顾宁は朝食を済ませた。
朝の自習時間が終わると、みんなスマートフォンを触り始めた。ゲームをする者、WeChatでおしゃべりする者、フォーラムを見る者がいた。
見なければ分からなかったが、見てみると、つい最近投稿された情報に皆が驚いた。