これを見ると、冷少霆の身分は本当に並々ならぬものだということがわかる。
王任康は入ってくるなり、顧お嬢様に向かって笑顔を作って言った。「顧お嬢様、こんにちは。私は派出所の副所長の王任康です。本当に申し訳ありません。部下が目が利かなくて、あなたを不快な思いをさせてしまいました。今すぐに出ていただけます。学校までお送りしましょう。」
王任康が態度を低くしたので、顧寧も威張らず、それなりに丁寧に言った。「学校までの送迎は結構です。私は不快な思いはしていません。ただ、この件が最後まできちんと解決されることを望みます。ただ権力という一言で解決されるのではなく。」
そう言いながら、顧寧は机の上の紙を取り、王任康に渡した。王任康は慌てて受け取った。
顧寧は続けて言った。「あなたたちは私を尋問していませんが、私はすでに事の経緯を、ありのままに書き記しました。嘘は一切ありません。信じられないなら、調べてみてください。私には非はありますが、情状酌量の余地はあります。ただ妹を守るためだけです。」
事件の経緯の記述を見ると、確かに顧寧の言う通り、彼女には非はあるが、情状酌量の余地はあった。
法律の観点から言えば、責任を追及する必要はなく、せいぜい医療費を払えば済む程度だった。
もちろん、これは一般人の場合の話で、今は局長から電話があって釈放するよう言われているのだから、顧寧に医療費を払わせるなんてとんでもない話だ。
同時に、王任康は顧寧が一蹴で人を吹っ飛ばしたことに冷や汗をかいた。この女の子は、こんなにも強いのか。
「私は妹が夏嬌嬌たちにこれ以上故意に傷つけられることがないよう望みます。王ふくしょちょうには彼らの校長に電話をして、少し警告していただきたいです。彼は夏嬌嬌たちをかなり擁護しているんです。」
顧寧のこの言葉には含みがあり、王任康はもちろんその意味を理解した。顧寧は第四高校の校長の杜海平が夏海明に取り入るために、理由もなく夏嬌嬌たちを擁護していると言っているのだ。
実際、杜海平のやり方について、王任康は理解を示していた。なぜなら、自分のためにならないことはしないものだからだ！彼もそうだった。
状況が誰に有利かで、彼らはその側に傾く。
