「ありがとう、お母さん」喬綿綿はプレゼントを受け取り、おとなしく一言お礼を言った。
墨奥様:「……」
彼女の心はとても痛んだ。
あのブレスレットは、本当に気に入っていたのに。
「このブレスレットは確かに母が大好きで、普段からずっとつけていたんだ」墨夜司は喬綿綿が持ってきたブレスレットを見て、唇を曲げて言った。「お前は肌が白いから、翡翠が似合う。今度イヤリングとネックレスを買ってあげるよ。セットにできるからね」
彼の声は大きくなかったが、墨奥様と沈柔は聞こえていた。
自分が育てた息子が彼女にこんなに気を遣うなんて、墨奥様は嫉妬して、思わず文句を言った。「よく嫁をもらえば母親を忘れるって言うけど、本当にそうね。嫁にばかり買い与えて、私に買ってくれたことなんてあったかしら?」
墨夜司はそれを聞いて、笑った。「母さん、自分の嫁に嫉妬してるの?いつも妹が欲しいって言ってたじゃない?今は妹はいないけど、嫁ができて娘ができたようなものだろ。俺が娘を可愛がるのに、喜んでくれないの?」
墨奥様は彼の言葉に一瞬言葉を失った。
本当は、この娘は認めないと言いたかった。
でも彼女は墨夜司の性格をよく知っていた。彼が今この女性を認めた以上、他人が少しでも悪く言うことは許さないだろう。
彼女が喬綿綿の面前で嫌な思いをさせれば、母子関係まで悪くなるだけだ。
そんな馬鹿なことはしない。
「来月、翡翠のジュエリーセットのオークションがあるんだ。そのセットのデザインが母さんにぴったりだと思った。大切なものを綿綿にあげてくれたから、そのセットを落札して母さんにあげるよ。これで満足?」
墨奥様と墨雲程はとても仲が良く、彼女はもう40代で子持ちだが、墨雲程は相変わらず彼女を小姫のように大事にしていた。
墨夜司もそれを見習って、普段から墨奥様を甘やかしていた。
墨奥様が翡翠のジュエリーを欲しがると、すぐに買うと約束した。
「言ったわねー」墨奥様はジュエリーをもらえることになり、息子の気遣いを感じて、少し気分が良くなった。
「ああ、約束したよ」