墨夜司は笑って言った。「私が冗談を言っているように見えるかい?」
「義兄さん、本当に素晴らしいです!」喬宸は再び興奮して、このように寛大な義兄に対して、お世辞も惜しまなかった。「姉がなぜあなたと結婚したのかわかります。義兄さんのような素晴らしい男性は、提灯を持って探してもなかなか見つからないでしょう。姉も幸運だったんですね、あなたのような素晴らしいだんなと結婚できて。」
このお世辞を、墨夜司は喜んで受け入れた。
彼はこの義弟が状況をよく理解し、話し方も上手だと感じた。
ただ、車を1台贈るだけでは、少し物足りないような気がした。
少し考えてから、彼は尋ねた。「車以外に、何か欲しいものはないか?」
喬宸は一瞬驚いたが、頭の中でひらめいたことがあり、さらに興奮してきた。「義兄さん、あなたの身分はすごく凄いんですか?普通の人には出来ないことを沢山できる人なんですか?」
墨夜司が何も言う前に、運転席に座っている李おじさんが笑い出して、彼の代わりに答えた。「喬宸さん、坊ちゃまはとても凄い人なんです。何か頼みたいことがあれば彼に言ってください。坊ちゃまはきっとあなたのために解決してくれますよ。」
これは自慢ではない。
墨家の権力はA国でトップクラスだ。
墨家の人間でも出来ないことなら、他の人にはさらに不可能だろう。
李おじさんは墨夜司が喬宸を重視していることを察知し、勝手に彼の代わりに約束したのだ。
案の定、彼が約束した後、墨夜司は不快感を示すことなく、むしろ頷いて同意した。「李おじさんの言う通りだ。何か頼みたいことがあれば私に言ってくれ。」
喬宸の黒い瞳が一瞬輝いた。「義兄さん、欲しいものは特にないんです。でも、ある人に会いたいんです。」
「誰に会いたいんだ?」
「司南です。EG戦隊の隊長の司南です。彼は私の憧れの人で、ずっと一度会ってみたいと思っていました。もし会えなくても構いません、彼のサイン入り写真があればいいんです。義兄さん、彼のサイン入り写真を手に入れてくれませんか?」
喬宸は妥協案を提示した。
彼は義兄の能力が高いことを知っており、これは彼にとって難しいことではないはずだと思った。
しかし、司南という人物は少し変わった性格をしている。