「こうやってお腹を押さえると、少し痛みが和らぐらしいわ」
喬綿綿は実際そこまで痛くはなかった。今の痛みは彼女が我慢できる範囲内だった。
でも、なぜか。
墨夜司があんなに心配そうにしているのを見て、思わず甘えてしまった。「うん、痛い...」
墨夜司はそれを本当だと信じた。
「ちょっと待っていて、すぐに戻るから」
彼は立ち上がってドアの方へ歩き出した。
「どこに行くの?」
彼がすでにドアのところまで来ているのを見て、喬綿綿は声をかけた。
墨夜司は足を止め、ドアを開けながら言った。「黒砂糖のお湯を作ってくるよ。少し我慢して、すぐに戻るから」
*
墨夜司がドアを開けて出ていったところ、雷恩が喬宸を連れてやってきた。
彼を見て、喬宸は急いで彼の前まで歩み寄った。「義兄さん、姉さんはどこ?」
「ちょうどいいところに来た」
墨夜司は手を伸ばして彼の肩を軽くたたき、言い付けた。「お前の姉さんは少し具合が悪いんだ。中に入って彼女の面倒を見てやってくれ」
「姉さんの具合が悪い?どうしたの?」
喬綿綿の具合が悪いと聞いて、喬宸は心配になった。
墨夜司は数秒黙った後、彼に答えずに言った。「入れば分かるさ。早く入ってくれ、ぐずぐずするな」
言い終わると、彼は急ぎ足で階下へ向かった。
呆然とした喬宸を残して。
*
「姉さん、どこが具合悪いの?」
喬宸は寝室に入り、ベッドに横たわっている喬綿綿を見て、足早にベッドサイドに歩み寄り、心配そうに彼女を見つめた。
喬綿綿は足音を聞いたとき、墨夜司が戻ってきたのかと思った。
彼の速さにびっくりしたほどだった。
入ってきたのが喬宸だと分かると、少し驚いて、まばたきしながら言った。「誰が私の具合が悪いって言ったの?」
「義兄さんだよ」喬宸は言った。「今来たときに義兄さんに会ったんだ。姉さんの具合が悪いから、ちょっと面倒を見てくれって。でも義兄さんはどこに行ったの?なんで自分で看病しないの?」