彼女はものすごい速さで、あっという間に、トイレに入り、ドアまで閉めてしまった。
求愛中だった墨夜司は「……」
トイレに滑り込んだ小さな影を見て、彼はまず数秒呆然とし、その後顔を曇らせて体のある部分を見下ろした。
その部分は、まだ待機状態のままだった。
彼には信じられなかった。最後の一歩まであと少しだったのに、押しのけられたなんて?
求愛の過程で、自分の妻に押しのけられたなんて?!
もしかして、彼女を気持ちよくさせられなかったから、嫌われたのか?
そう考えると、彼の顔は暗くなった。
*
喬綿綿は急いでトイレに駆け込むと、すぐに体に巻きついていた布団を脱ぎ捨てた。
数分後。
本当に生理が来たことを確認した彼女の気持ちは、言葉では言い表せないものだった。
生理の来る時期が早すぎず遅すぎず、ちょうど重要な瞬間に来るなんて。
タイミングがよかったと言うべきか、悪かったと言うべきか。
ベッドから飛び降りた時の墨夜司の驚愕し信じられないという表情を思い出し、喬綿綿は……
えーと、今彼がどんな気持ちでいるのかわからない。
でも、どんな気持ちであれ、きっと良い気分ではないだろう。
結局のところ……
どんな男性でも、最も重要な瞬間に邪魔されるのは、しかも自分のパートナーに押しのけられるのは、良い経験ではないだろう。
でも、彼女だって故意にしたわけじゃない。こんなタイミングで生理が来るなんて、誰が予想できただろうか。
そう、彼女は突然激しい熱い流れを感じ、時期を計算して生理が来たと推測したから、墨夜司を押しのけたのだ。
彼が驚いたのはもちろん、彼女自身も驚いたのだから。
喬綿綿はトイレに座り込み、しばらくしてから困ったように眉をひそめた。
今どうすればいいの?
生理用ナプキンも持ってきていないし。
考えてみると、墨夜司に助けてもらうしかなさそうだ。
でも、彼に生理用ナプキンを探してもらうなんて、考えただけで恥ずかしい。
しかし恥ずかしくても、頼むしかない。
ずっとトイレにいるわけにもいかないし。