喬綿綿はまだ沈柔を見る暇もないうちに、その紫の服の男が目を見開いて、急に立ち上がるのを見た。
男の細長い桃花眼が彼女と墨夜司がしっかりと握り合っている手をじっと見つめ、目を見開いて驚いた表情で言った。「二哥、これは、お兄さんの奥さん？！」
言少卿の心の中で、まるで一万匹の草泥馬が駆け抜けていくようだった。
この瞬間、「うわっ」という言葉だけが彼の今の気持ちを表現できるものだった。
彼はお兄さんの奥さんがまだ学生で、年齢が若いことを知っていた。
しかし……
言少卿は二人が手を繋いでいるのを見つめた後、喬綿綿のまだ幼さと初々しさの残る白い顔に目を向けると、心の中でまた「うわっ」という気持ちになった。
彼のお兄さんの奥さんは、あまりにも若すぎるのではないか！
成人しているのか？
この顔を見ると、16、17歳の高校生と言っても信じる人がいるだろう。
二哥……まさか本当に禽獣になって未成年に手を出したんじゃないだろうな？！
そうだとしたら、本当に禽獣だ。
たとえ彼らが幼い頃からおむつをはいて育った親友であっても、このような禽獣の行為には絶対に反対だ！
言少卿の目がまだ喬綿綿の体を様々に探るのを見て、墨夜司の瞳が沈んだ。手を伸ばし、占有欲たっぷりに隣の小さな女性の腰を抱いた。
男は冷たい目で言少卿を見つめ、警告を含んだ口調で言った。「見たくなったか？お前の義姉に挨拶したのか。礼儀がなってない。」
言少卿：「……」
どうして礼儀がなってないんだ？！
それに、なぜか二哥が彼を見る目つきが少し危険な感じがするんだ。
まるで……彼を恋敵のように見ているみたいだ。
二哥の占有欲たっぷりの表情を見て、言少卿は口角をひきつらせた。命を守るために、急いで視線をそらした。
「ごほん、ごほん、お兄さんの奥さん、こんにちは。」言少卿は口角を上げ、喬綿綿に手を差し出した。「僕は言少卿といいます。二哥の……親友です。昔は同じ大院に住んでいました。」
墨夜司と言少卿のおじいさんは軍人で、子供の頃、二人は軍区の大院で数年過ごしたことがあった。
「こ、こんにちは。私は喬綿綿です。」
