水森霞は高橋あきらに殴られた顔を押さえながら、信じられない様子で彼を見つめた。「アキラにいさん、何をするの？あなたは病院で好き放題やってるじゃない。お金を渡してくる連中のところに行けばいいでしょう！あの老いぼれの薬を全部値上げして...これ全部あなたが私に言ったことじゃない？どうして私を殴るの？まさかこの女のために...」
「黙れ！俺を殺す気か？」高橋あきらは彼女の髪を掴み、さらに二発平手打ちを食らわせた。
傍らに立っていた林原英明の表情は険しくなっていた。「直ちに公式通達を出す。高橋あきらを解雇し、どの病院も彼を雇用してはならない！」
「そんな...そんなことはできません！説明させてください。」高橋あきらは呆然として、地面に膝をつき、林原英明の足にしがみついた。
「この老いぼれ、何するつもり？」水森霞はその言葉を聞いて再び叫び始めた。「言っておくけど、あの人が誰だか知ってる？国内有名な心臓血管専門医よ！あなたも年だし、いずれ私たちの手に掛かることになるわ。その時はどうなるか分かってるでしょう！」
加藤恋は彼女の様子を見て、哀れむように首を振った。
「先生、私は間違ったことはしていないと思います。よく見ていただければ、張本の叔父さんの容態は確かに良くなっています。」
水森霞は林原英明を一瞥し、高橋あきらを恨めしそうに見つめた。何が起きているのか全く理解できていない様子だった。
「誰か来て、この者たちを連れ出してくれ。他の患者の迷惑になる！」林原英明は医者として、人格と道徳は医術よりも重要だと常々考えていた。そのため、このような医の倫理に反する輩に対しては骨髄まで憎んでいた。知らなければまだしも、今やこのような事実が露見した以上、このような人間に対して手加減するつもりは毛頭なかった！
「この老いぼれ、あんた何様のつもり？さっき言ったこと分からないの？」水森霞はまだ大声で叫び続けていた。高橋あきらは今や彼女を心底憎んでいた。彼女のこの発言がなければ、林原英明もここまで早く彼を断罪することはなかっただろう。
すぐに警備員が呼ばれ、挨拶もそこそこに高橋あきらと水森霞を担ぎ上げ、病室から連れ出した。
