韓越は葉淇が陸厲沉の毒を解こうとしていることを知り、すぐに陸厲沉をソファに寝かせた。
葉淇は医療キットから注射器を取り出し、自分の血液を抽出した。
韓越は驚いて言った。「お嬢様、何をなさるおつもりですか?」
葉淇は何も言わず、抽出した血液を陸厲沉に飲ませた。
彼女はイェヘナラ皇族の特殊な血筋で、普通の人とは違う血液が流れており、解毒効果があった。
もちろん、解毒するだけで、陸厲沉の体内に潜む蠱毒を完全に取り除くことはできない。
さらに解毒を続けるには、雲夢雨の血液に含まれる母蠱を使う必要があった。
陸厲沉が葉淇の血液を飲み終えると、徐々に顔色が良くなってきた。
葉淇はそれを見て、今度は雲夢雨の血液の入った管を手に取った。
管を陸厲沉の鼻に近づけ、韓越の助けを借りながら、血液内の母蠱を活性化させ、陸厲沉の体内にある子蠱を引き寄せ始めた……
最初、母蠱は葉淇のコントロールが効かず、血液の中を暴れ回っていたが、陸厲沉の体に近づくと。
陸厲沉の腕で、血管が動いているのが見えた。それは子蠱の痕跡だった。
葉淇は素早く陸厲沉の腕を刺し、母蠱を使って子蠱を引き出した。
ガラス管に二つの呪蟲が見えたとき、韓越はほっとため息をついた。「よかった、子蠱も出てきましたね。」
子蠱が出てきてはじめて、陸厲沉の毒が完全に解かれたことになる。
葉淇はほっとして、ソファに寄りかかった。
そうだ、2時間以上かかったけど、やっと片付いた。
韓越はその二つの呪蟲を見て、何も言わずにキッチンの火で焼き殺した。
処理が終わってから、彼は戻ってきた。
そして二人で陸厲沉を寝室に運んだ。
韓越は熟睡している陸厲沉を見て、つぶやいた。「陸社長がいつ目覚めるかわかりませんね。」
「分からないけど、毒が解けた以上、目覚めるのは間違いないわ。」
葉淇は彼を見て言った。「一日中大変だったでしょう。休んでください。」
韓越はうなずいた。「はい、お嬢様。何かあれば電話してください。私は階下で休んでいます。」
「わかったわ、行ってください。」葉淇は手を振り、韓越は寝室を出た。