これはウォームアップトレーニングで、自動ピッチングマシンがボールを投げ、チームの打者が並んで打撃練習をしていた。マシンから放たれるボールには特別な変化はなく、スピードも制御可能で、慣れれば空振りすることはほとんどないが、打ち損じは避けられず、そのため内野と外野には数人の選手がボール拾いをしており、あちこち走り回っているのも練習の一環だろう。
鈴木希は北原秀次が野球素人だと知っていたので、特別に案内して一周させた——これらの新しい設備は彼女が裏で手を回して学生会から強引に獲得したもので、さもなければ野球部の成績では学生会に予算を要求する資格すらなかった。
雪里は鈴木希の唯一の親友であり、最も信頼する部下として、当然ながら一台の自動ピッチングマシンを独占使用していた。「パン」という鋭い音とともに、ボールは球場の外へと飛んでいき、北原秀次は目を見張った——ボールがほとんど見えないほどで、その音がなければ雪里が空振り練習をしているのかと思うところだった。
彼は疑問に思って尋ねた:「このボールの速さは?」
「210キロ!」鈴木希は明らかに初めて見るわけではなく、驚きはなかったものの憧れの表情を隠せず、雪里の身体能力への羨望の念を隠そうともしなかった。
北原秀次は傍らで判断し、自分では打てないだろうと思った。もし打てたとしても運任せだ——球速が180キロを超えると人間の目では軌道を追うのが難しく、まして210キロともなれば尚更だ。
なるほど雪里が一台のマシンを独占できるわけだ。他の人は彼女と一緒に練習することすらできない。これも実力で勝ち取った特権というわけだ。
以前、雪里は自分がとても強くて、みんなから「豪打お姉さん」と呼ばれていて、プロ級の実力があると言っていたが、北原秀次はたわごとだと思っていた。今見てみると...プロ級かどうかは分からないが、「豪打」の名は伊達ではないようだ。120-130キロの球速なら、彼女の目には止まって見えるのだろうか?
雪里は非常に集中して打撃練習をしていた。このスピードは彼女にとっても対応が大変なようだ——このスピードは人を殺せるレベルだ。時速200キロ以上で走る車に手榴弾を投げてもスイカを投げても、車は大破し人は死ぬ。小さな野球ボールでも本質は変わらず、人に当たれば骨折は軽い方だ。