北原秀次は雪里の手に押さえていた本を奪い返し、箱の中に戻した。ところが冬美はすでに表紙を確認していて、すぐさまロフトに駆け込んだ。箱を見て、北原秀次を見た。そして北原秀次はためらわずに言った。「内田がここに預けていったんだ!」
友達を売るのは信義に反するが、この罪はあまりにも重すぎる。彼が責任を負いたくなかった。ここは女の子や未成年者が主で、この二箱のH本を持って来たんだ。自分が自白すると、人前のイメージが一変する。
H本が二箱分もあるなんて、これから福沢家の姉妹の目には自分がどう映るだろう?絶対にならない!
冬美は箱の蓋を開けて中を一目確かめた後、すぐに北原秀次の方に小さな顔を向けて疑う声で言った。「それ、内田のやつ?」
「そうだよ。信じないなら電話で確かめてみればいいだろう」
冬美は口をへの字にして、電話をかけるつもりはなさそうだった。彼女はバカではない。男同士の義理というもの、写真集やQ雑誌が一、二箱あるくらいで、それが二個の充气娃娃だと電話で聞かれたところで、向こうの内田雄馬は確実にすぐに認めるだろう。ためらってる場合じゃない。
誰が想像できるだろう。この人はいつも堅実そうに見えるが、裏の趣味がこんなにあるのか。これって、内気な淫乱の一種だろうか。困ったことに、これじゃあ自分が狼を家に招き入れたことになる?
しかし、これは北原秀次の個人的な趣味である。彼女はとても不愉快だが、そこに介入するのは難しく、ましてやそれを引っ張り出して燃やすこともできない。彼女は頭を傾げてしゃきっと言った。「誰が持ってきたかは重要ではない。きちんと保管して、雪里たちには見せないで。彼女たちはまだ子供だから。」
この真っ白な顔をした臭いおなら精霊も、子供たちがダメになるかどうかを考えてみてはどうだろう?男の子ってやつは本当に一人残らずダメだ!
北原秀次は一言も言えずにしばらく立ち尽くした。これは黄色い泥がズボンの尻に落ちた場合、ウンコであろうとなかろうとウンコになってしまう。彼は二つの箱を再度きちんと封じて、ロフトの隅に重ねて置いた。そして素直に言った。「わかりました。きちんと保管します。」
明日、内田にすぐに持って帰ることができるか聞いてみるか……