雪里の性格は、良い意味で言えば自然体で純粋、悪い意味で言えば少し間抜けな感じがする。他人が彼女の家族や友達を傷つけなければ、彼女自体は全く攻撃的ではなく、競争心もなく、とても寛大で、どんなことでもいい。彼女をいじっても怒らないし、かなり理にかなっている(彼女自身の独自の理論に基づいて)。さらには義理堅さを尊び、人を助けることが大好き(結果が良くないこともあるが)なので、人望は超一流。何も知らなそうな彼女の純真な顔を見ていると、誰も彼女をいじめようとは思わない。ほとんど全ての人が彼女を好きだ。
北原秀次も同じで、明らかに間違っていることを知っていても、彼女に向かって「お前、ふざけるのはやめろ」と大声で叫ぶことができない。彼は、雪里の少し困惑した、少し傷ついた顔を見ることを望んでいない。それはまるで何か罪を犯したような感じだ。
雪里はすでに座って弁当箱を開け始めている。2つの大きなご飯の入った箱と1つの料理の入った箱だ。余分なご飯の箱は北原秀次のために用意したわけではなく、彼女自身がこれだけ食べるのだ。
内田雄馬が近づいてきて見て、それから北原秀次を見て、にっこりと笑った。「これは豪華だね、愛妻弁当か?」
北原秀次は彼を横目で見て、何の愛妻弁当だよ、これは春菜が作ったものだし、雪里はこれらを自分で全部食べるだけだ。彼女は他のことではかなり大らかだが、食物については決して他人と分け合おうとはしない。
そのことを頭に入れて、彼は急いで考えを変えて説得した。「雪里、僕も弁当を用意してないから、食堂で食べるほうがいいかな?あなたは自分のクラスに戻って……」
雪里は少し迷った後、大きな弁当箱を押し出し、苦しそうに言った。「もし秀次なら、一緒に食べてもいい……君は食べる量が少ないと思うけど、食べ終わったら残りを私にくればいい。それほど食べられないと思うけど?」
北原秀次はむせ返った。彼は確かに雪里には食量で劣る。雪里は普段何人分も食べるので、彼はこの大型弁当箱のうち、おそらく一角を食べるだけだろう。