何年も経った後、ミンの葬儀の後、かつて純粋だった少女クックは、裏社会の暴力と誘惑の渦に巻き込まれていた。冷酷なフックの「指導」のもと、クックは次第に純粋さを失い、麻薬密売や売春組織の「主役」となり、生きることはただの暗闇と苦痛の連続となった。
その夜、薄暗いカフェで、穏やかな音楽が流れ、ネオンの光がぼんやりと輝いていた。ソファに座るクックは、黒いセクシーなランジェリーを身にまとい、長い髪を下ろし、無造作にタバコをくゆらせていた。
「くそっ…今月の金はどこだ、クック? まさか全部使い込んだんじゃねぇだろうな、クソ女が!」
フックがドアを蹴破り、怒鳴り込んできた。
クックは煙草の火をもみ消し、フックの顔を真っ直ぐ見据えた。
「金? どこにあんの? 今の私に金が残ってると思うの? 誰が経済特区で遊び回って薬をキメまくった? 誰が刑事に踏み込まれて荷を失った? 誰よ?」
「それでよく金を要求できるわね。むしろお前が吐き出すべきなんじゃないの?」
フックは怒鳴り返す。
「俺が拾って育ててやらなかったら、お前なんてそこらの売春婦と変わらねぇ、惨めに路上で這いずってただけだろうが!」
そう言うと、彼はクックの顔を平手打ちした。
クックもすかさず張り返す。
「お前、偉そうに言うけどな! クソったれ、そんなに良い人間なら、何で嫁に捨てられ、家族に見放されてるんだ? 今、お前と娘がこんなスラム街で身を隠すように暮らしてるのは、誰のせいだよ?」
フックは怒りを抑えられず、クックの首を絞め上げた。クックは蹴りを放ち、フックの腕を振り払うと、近くにあったビール瓶を掴み、彼の頭に叩きつけた。二人は激しくもみ合い、クックは爪を立ててフックの顔を引っ掻くが、フックは彼女の髪を掴み、壁に何度も打ちつける。
クックは体勢を整え、フックの急所に蹴りを入れる。そして彼の頭をテーブルに叩きつけた後、キッチンへ駆け込み、包丁を掴んだ。フックに向かって突進し、刃を振り上げたその瞬間ーー。
突然、寺の鐘が鳴り響いた。まるで彼女の心の声を代弁するかのように。
クックは凍りついたように動きを止めた。その隙に、フックが彼女の手から包丁をもぎ取り、ためらうことなく何度も彼女の腹を突き刺した。
クックは無表情のまま、血の海に崩れ落ちた。死の間際、彼女の脳裏にはただ一つの疑問がよぎった。
「どうして…お父さんは私を愛してくれなかったの…? どうして殴って、売り飛ばしたの…? もしお父さんが私を愛してくれていたら、私の人生はもっと違っていたのに…もっと幸せだったのに…」
静かに涙を流しながら、彼女の意識は鐘の音とともに薄れていった。冷たいタイルの床に広がる鮮血の臭いが、彼女の人生そのもののように思えた。
フックは深呼吸し、落ち着きを取り戻すと、部下たちに冷たく命じた。
「さっさと片付けろ。」
ーー 第2章 終わり ーー