リンは心優しく、しっかり者の少女だった。彼女は母であるランからその性格を受け継ぎ、母を何よりも大切に思っていた。リンは勉強熱心で親切な子だったが、貧しい家計のため、弟のナムの学費を優先し、自分を犠牲にしていた。昼は母と一緒に宝くじを売り、夜は狭く汚れた路地で屋台を引いて生計を立てていた。
ある晩、月明かりが夜空を照らす中、ランが突然倒れた。リンと近所の人々は慌てて彼女を病院へ運んだ。救急車のサイレンが夜の静寂を切り裂く中、リンは涙を流すしかなかった。
数日後、リンは母のために食事と着替えを準備していた。そこへ父親のハイクアンが帰ってきた。リンは彼に食事を勧めたが、彼の手は小刻みに震えていた。食事の後、彼は古いバイクのところへ行き、小さな袋から「冷たいお茶」を取り出した。そして、それをリンに渡し、「飲むと元気になるぞ」と言った。リンは何も疑わず、それを半分ほど飲んだ。
すると、急にめまいがした。その瞬間、フックという男が現れ、乱暴にリンを引きずっていった。彼はハイクアンに分厚い札束を投げつけ、不敵な笑みを浮かべた。リンはすべてを悟った。混乱しながらも父の足を掴み、必死に懇願した。だが、父は冷たく手を振りほどき、一度も振り返ることはなかった。リンは失望と悲しみに打ちひしがれ、泣き叫びながら意識を失った。
目が覚めたとき、リンは見知らぬ車の中にいた。フックともう一人の男が乗っていた。手足を縛られ、口を塞がれたリンは抵抗できず、ただ涙を流すしかなかった。その後、リンは遠く離れた場所に監禁され、苦しみに満ちた日々を送ることになった。
6か月後のある夜、リンは警戒が緩んだ隙を突いて逃げ出した。しかし、すぐにフックに見つかってしまった。彼はリンを捕まえ、容赦なく罰を与えた。そして、彼女を小舟に乗せ、暗い川の中央へと連れ出した。
月明かりが冷たく水面を照らす中、フックはリンを怒りの目で見つめた。彼が何か言ったが、リンにはもう聞こえなかった。次の瞬間、彼女は突き飛ばされ、冷たい水の中へ落とされた。
リンは必死にもがき、助けを求めようとした。しかし、やがて力尽き、暗く冷たい川の底へと沈んでいった…。
第3章 終わり