彼女たち全家族が出動し、その他にも内田雄馬や式島律も来るのだが、だいたい時間通りに来るはずだし、陽子にも友達はいない。つまり、基本的に催しのメンバーはこれだ。
雪里は陽子を抱きしめ、次に百次郎を見つめる。百次郎は逃げ出そうと足を上げていたが、雪里の視線に捕まったため半秒ほどためらった後、おなじみの体勢で横になり、お腹を雪里に見せる。その間も、犬の顔でおべんちゃらを振るって頑張って笑っていた。
雪里はしゃがみ込み、それを見て口を拭いながら、笑って言った。「わんちゃん、だんだん太ってきたね!」
百次郎は笑顔が犬の耳まで広がり、一生懸命に体を縮めて、出来るだけ自分の肥満部分を隠そうとしている。雪里に初めて会った時から、彼女をとても恐れていて、まるで森の野生動物に出くわしたような気分だった。
夏織夏沙も百次郎をからかいに来て、彼女たちは犬が大好きなのだが、冬美が飼うことを許さない。秋太郎も、笑いながら手を伸ばして何も考えずに触っていた。冬美は北原秀次のそばに立ち、眉を顰めて見つめていた。北原秀次は彼女を不思議そうに見つめ、笑って尋ねた。「何で触らないんですか?」
この小ロブヘッドは、一般的な少女心があるはずだ。一般的な少女は子犬や子猫が好きだろう?何で遊ばないの?百次郎なんて、この程度の価値しかないんだから、基本的には萌えを売って生きているだけだ。
冬美は返事をせず、代わりに尋ねた。「台所はどこ?」北原秀次は彼女の家を出たり入ったりするのが常だが、彼女が北原秀次の家に来るのは初めてだ。食材とケーキを台所に持って行ってから、ここをゆっくり見て回るつもりだった。
「あっちだよ」と北原秀次が指さした。彼の家は小庭しかないので、案内する必要もない。冬美は雪里が背負っていた大きな荷物を下ろし、箱を持ち上げて直接そこに行った。それに対して北原秀次は春菜に向かって笑顔で尋ねた。「うちの姉さん、犬が嫌いなの?」
北原秀次は彼女たちの家族であり、春菜はシンプルに答える。「嫌いだよ、大姐は四、五歳の頃に犬に噛まれたことがあるから、それ以来全然犬が好きじゃないんだ。」
「深く噛まれたんですか?」北原秀次が驚いて言った。これほど運が悪いなんて?