夏天は直接李三の腹に蹴りを入れ、さっきの椅子を持ち上げて李三の背中に打ち下ろした。動きは先ほど李三が薛川を打ったのと全く同じだったが、違うのは先ほどは椅子が壊れなかったのに、今回は椅子が完全にバラバラになったことだ。
「三さん！！」あの3人の子分たちが急いで李三を支えに行った。
夏天のこの一撃は軽くはなかった。李三は背中が焼けるように痛むのを感じた。もしさっきの一撃がもう少し高い位置に当たっていたら、彼はすでに気絶していただろう。
「さっき何て言った？もう一度言ってみろ」夏天は手近の椅子を取って座った。
「このクソガキ、俺に手を出すとは」李三は苦しそうに立ち上がった。彼は体中がバラバラになりそうな感じがした。
バーン！
夏天は立ち上がり、再び椅子で彼の背中を殴った。
ああ！李三の口から悲鳴が上がった。
「三さん！！」数人の小者たちが全員李三の前に立ちはだかった。
「もう一度言ってみろ」夏天は軽く笑った。
「連れて行け」李三はもう持ちこたえられないと感じた。レストランの予備の木の小椅子とはいえ、体に当たるとやはり痛いのだ。
3人の小者たちは李三を担いで連れ出した。レストランの支配人は呆然としていた。李三はここでは一目置かれる存在で、普段から人をいじめたり、時には女性ウェイトレスにセクハラしたりしていたが、みんな怒っても文句は言えなかった。しかし今日は、こんな見た目は小柄な学生にこんなにやられてしまった。
火吻女と唐嫣は夏天を非常に奇妙な目で見ていた。さっきまで気勢を上げていた李三が、こんなに簡単に夏天にやっつけられてしまったのだ。
葉清雪と冰心はすでに慣れっこになっていた。
雲淼の顔からは他の感情を読み取るのは難しく、常に冷たい表情だったが、靈兒は非常に興味深そうに見ていた。
「大丈夫？」唐嫣は薛川に向かって尋ねた。
「大丈夫だ」薛川は首を振った。相手の出手があまりにも速かったので、不意を突かれたのだ。
「もう食事を始めていいか？腹が減った」夏天はその支配人に向かって尋ねた。
「あ、はい、はい、すぐに」支配人はようやく我に返り、急いで出て行った。
火吻女は地面から携帯電話を拾い上げ、ある番号に電話をかけた。
