白い服が清風に軽く吹かれ、その姿全体から仙霊の気が漂っていた。古代であれば、この人物は間違いなく絶世の達人だったろう。しかし今は21世紀、この時代の人々が使うのは銃だ。流沙たちが手にしているような銃だ。しかし、この人物の手には剣が握られていた。
銀白色の鞘には精巧な龍が彫られ、柄は青色だった。まだ鞘から抜かれていないにもかかわらず、その剣からは殺気が漂っていた。
「淵紅、名刀淵紅だ」先頭の灰色の服の男が震える声で言った。彼は仮面をつけていたが、そうでなければ驚きに満ちた表情が見えただろう。
「天下一の剣士、尹」灰色の服の男の声が止まり、すべてが静かになった。
場は異常なほど静まり返り、誰も口を開かなかった。夏天は困惑して灰色の服の男を見た。なぜ彼の言葉が途中で止まったのか、そして彼の隣にいたもう一人の灰色の服の男も動かずにそこに立っていた。
プッ!!!
鮮血が二人の灰色の服の男の喉から流れ出した。二つの体が冷たい地面に倒れ込んだ。残りの灰色の服の男は倒れた二人の体を見て、少し震えていた。
「この二人を連れて行け」白衣の人が淡々と言った。
灰色の服の男は急いで二人の仲間の遺体を抱え上げ、遠くへ逃げていった。少しも躊躇せず、ここは彼にとっては鬼門關だった。たとえ一秒遅れても、白衣の人が気が変われば、彼は必ず死ぬことになる。
隊長さえもこの人物の手にかかって死んでしまったのだ。自分が相手の手から生き延びられるとは到底信じられなかった。
目の前で起こったことはあまりにも速すぎて、夏天には何が起こったのかわからなかった。先ほどの出来事は本当に速すぎた。白衣の人が一体何をしたのか、彼にはまったくわからなかった。
「彼はいつ手を動かしたんだ?」夏天は恐怖に満ちた目で白衣の人を見た。確かに白衣の人が自分を救ってくれたのだが、相手が自分の死を望めば、先ほどの灰色の服の男のようになってしまうことを知っていた。
「君が夏天だね?」白衣の人の目が夏天に向けられた。
「そうだ、俺が夏天だ」夏天は目をそらさずに白衣の人を見つめた。
「彼によく似ているね。勇気も同じだ」白衣の人は満足そうにうなずいた。