蛍光粉は一種の暗視粉で、この粉は日光や電灯の下では見えないが、特殊な道具を使えば見ることができる。この物の使い方は夏天が小さい頃から知っていた。
彼が出発する前、おばさんが特別にこれを用意してくれた。
「このメガネをかけて、何が見えるか教えて」夏天は林冰冰にメガネを渡した。彼の透視眼の能力があれば、特製のメガネがなくても蛍光粉が見えるのだが。
暗影が去る前、夏天は彼の体と靴にたくさんの蛍光粉をまいた。
「こんなものまで持っているなんて」林冰冰は驚いて夏天を見た。彼女は今、夏天が特別行動部の人間ではないかと疑い始めていた。なぜなら、彼が知っているこれらのことは特別行動部でしか学べないはずだからだ。
「これはさっきおばさんがくれたんだ。つまり君の葉おばさんだよ。これの使い方は簡単だけど、まくタイミングが重要なんだ」夏天は説明した。
「私にも少し分けてよ。今後使えるかもしれないし」林冰冰は右手を差し出した。
「君が?まずはまくタイミングの練習からだな。そうしないと、バカでも君が何かしたってバレちゃうぞ」夏天は林冰冰と知り合ってまだ日が浅いが、彼女の性格はすでに見抜いていた。林冰冰は素直で熱血漢なのだ。
こういう人は何をするにも意気込みがあるし、頭の中はポジティブな考えでいっぱいだ。でも、彼女のような人は行動が雑になりがちで、こういうことをするには素早く、タイミングを見極める必要がある。
これらのことは特別な訓練を経て初めてできるようになるのだ。
「くれないならくれなくていいわよ。大したことないし」林冰冰は顔をそむけ、特製のメガネをかけた。目の前の蛍光粉がはっきりと見え、蛍光粉の痕跡を見て、彼女の気分は少し良くなった。
「ちょっと待って」林冰冰を引き止めた。
「どうしたの?」林冰冰は不思議そうに尋ねた。「追わないと。逃げちゃうわよ」
「君が本当にバカだって言うのは本当だな。体中蛍光粉だらけなのに、どこに逃げられるっていうんだ?」夏天は辺りを見回した。周りの人々はほとんど二人を見ていた。林冰冰がこの通りを歩くこと自体が間違いで、こんな風に追いかければ、暗影に気づかれないはずがない。「君は格好を変えないといけない」