少し離れた通路で、シーバがちょうどそこを通りかかり、その光景を目にした。
思わずうらやむ表情を浮かべた:
「彼ら、今はすごく仲良しですね。」
「今日は旅行に出かけるんですか?」
ウェズリー氏が水差しを持って彼女のそばを通り過ぎた:
「私が聞いたところでは敵討ちに行くらしいよ、親愛なるシーバよ。もしほんとうに旅行なら、心配したほうがいいわよ。」
シーバはにっこり笑い、目をきらきらと輝かせた:
「そんなこと、信じませんから。」
「お父さんもマシューも、まっとうな男性ですから。」
そう言って。
彼女は軽く咳を二つした。
ウェズリー氏はすぐに手を伸ばして彼女の額に触った:
「かなり熱いわ!早く休んだほうがいいわ、子供よ。」
「血の旗家の人々は覚醒期に何か変な行動をすることは多いけど、あなたみたく額から卵が焼けるほどの熱を出す人は珍しいわね。」
シーバは従順に頷いた:
「私、悪魔になるんですか?」
ウェズリー氏は優しく彼女の頭を撫でながら言った:
「私たちのシーバは、世界で最も愛らしく、最も純粋な少女よ。」
「悪魔になるなんて、とんでもない!せいぜい額に角が二つ出る程度でしょう。」
シーバは恥ずかしそうに頭を下げて咳を二つし、そして小さな拳を振り上げて言った:
「私もそう思います。」
……
マジックカーペットは北西方向へひたすら飛んでいった。
マジックカーペットでの長距離旅行が初めてだったので、マシューはあまり高くも速くも飛ばなかった。
地上からの高さは平均で約200メートル、時速は50~60キロメートルほどだった。
マジックカーペットに乗ったレイガは、すっかりおとなしくなった。
3時間間に渡って。
彼が発した言葉はわずか三つだけだった。
「マシュー、ちょっとそっちに行ってくれる?私、真ん中に座りたいんだ。」
「このマジックカーペット、大丈夫?もし落ちたらどうなるんだ?」
「君のベルトにつかまっていてもいいか?」
彼には少し高所恐怖症があるようだったが、はっきりとは表に出ていなかった。
マシューは道案内と操作に集中していた。
飛び立ってから半時間。