……
少し前。
ローリングストーンズタウンの北、オークの森の中。
手ぶらのリー・ウィチと大荷物を背負ったレイガが、約束の地点へと徒歩で向かった。
すでに夜が更けていた。
オークの森は静まり返っており、時折地下から聞こえてくるゾンビの遠吠えが聞こえる。
「久しぶりにローリングストーンズタウンを出て冒険するなんて、自分が若かった頃を思い出すな。その時はまだ十六、七歳だったか、せいぜい十八歳だろう。荷物を背負い、未来への期待感を胸に、冒険の旅に出たんだ。」
と、レイガは感慨深くつぶやいた。
リー・ウィチが不思議そうに彼を見つめた。
「それで、貯蔵指輪を使わずに全ての荷物を自分で運ぶ理由は?我々が長年贅沢に暮らしてきた領主さまがついに苦しい過去を懐かしむようになったのか?」
レイガが彼を見つめた。
「私は君も荷物を分担してくれると思っていたんだが。」
リー・ウィチは真面目に言った。
「各人それぞれ自分の修行がある、君の辛さを私が分けてあげることはできないよ。」
レイガは彼に冷ややかな目を向けた。そしてもう少し歩いてから、ついに最大の荷物を貯蔵指輪の中に押し込んだ。
「でもこうすると冒険の感じがなくなる。まるで休暇に出かけるみたいだね。」
レイガは落胆したようにため息をついた。
「それは君とドラゴン礼拝カルトとでは、意見が合わないかもしれないよ。」
リー・ウィチは微笑んだ。
「ところで、レイガ、シーバとマシューの話を聞いたよ。」
レイガの様子が一変した。
「あなたはどう思う?」
リー・ウィチが言った。
「俺は、二人は結構お似合いだと思っているよ。」
カチン。
レイガが反射的に冷たい閃光を放つ大宝剣を抜き、リー・ウィチの喉元に当てた。
「そうだな、確かに二人はお似合いだけど、マシューは貧乏で何も持っていない死霊魔道士。我々の純粋で神聖なローリングストーンズタウンの小さなお姫様とは立場も家柄も違うからなあ。だから結局、この結婚には反対だよ。」
リー・ウィチは堂々と述べた。
「そして、このことについて、今回の行動に関して、君に提案があるんだ。」
レイガは剣を半分ほど引いた。
「言ってみろ。」