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アインドにおいては、交渉は非常に普通のことだ。
アインドの人々は交渉に対する情熱が異常なまでに高く、文明社会であれば無論のことながら、冒険譚でも、いざという時には何でも交渉から始めるのが彼らのスタンスだ。
そして初回の交渉が失敗したとしても、大抵の場合、双方は第二ラウンドの交渉に同意し、その過程で「調停人」の役割が加わることになる。
ローリングストーンズタウンでは、調停人の役目は通常、町の長老が担当し、激流城のような都市では、公式な交渉機関があって、市民間の紛争を処理している。
マシューは、あるベテラン調停人の著作を読んで、そのまえがきに書かれていたことを覚えている。
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「どうすればもっと効果的に紛争を解決できるか?以下の三つが必要だ——
交渉前には、力の均衡を保つ;
交渉中には、様々な手段を駆使する;
交渉後には、結果に盲信しない」
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最初の二つは容易に理解できるが、三つ目のポイントについて、マシューの理解ではこのような意味だろうと思っていた。
交渉で問題を解決することは多くのアインドの人々が合意しているが、礼節を欠いた者もいて、交渉結果を反故にしたり、翌日には背信する例も歴史上には存在する。
だから、既に確定している交渉結果に対しても、注意深く警戒するべきだ。
これがマシューの初めての交渉だ。
相手はレベル20の強者だ。初めて会ったときに使われた「法令死」の印象は、マシューの心に鮮明に刻まれている。
緊張しないわけがない。
しかし、マシューは、ここで勇気を振り絞り、立ち向かわなければならないと知っている。恐怖を見透かされてしまったら、交渉はまだ始まらないうちに負けてしまう。
彼は前に進み、安全な距離を保ち、落ち着いて口を開いた。
「この雨林には巨大なドラゴンの墓などありません」
ブリンケンは冷笑した。
「2つ目を言ってみろ」
マシューは顔色一つ変えずに答えた。
「風砂盗賊団の内紛は、おそらくは自演の芝居でしょう」
ブリンケンは少しイライラした様子だった。
「3つ目を言ってみろ」