“均流島のス族の人々は、すでに多くのものを忘れてしまっています。今の勢いで行けば、彼ら自身を忘れてしまうのも遠くはありません。”
“それは多分彼らがここに属していないからでしょう、漂流してこの地に辿り着いたのも単なる偶然だった。だが、その偶然に私は感謝しています。それがなければ、私は愛する人と出会う機会はなかったでしょう。”
彼はすぐに語った。もしマシューが興味があって、能力があるなら、何の問題もなくそれらの木を移植しても良い。
村の長老たちは決して妨げることはないだろう。
許可が出ると、マシューは喜んだが、彼はすぐにパールの様子を尋ねた。
彼は過去2日間、時折老婆婆のもとを訪れたが、得た結論は決して明るいものではなかった。彼女はいつこの人生を終えてもおかしくない状態に見えた。
しかしながら、オーエゲンの態度は非常に積極的だった。
彼は笑いながら言った。
“彼女はここ数日間、精神が良く、私の予測では、少なくとも元灯節がくるまでは、この状態を保つと思います。”
マシューはオーエゲンの笑いから、何か他の意味を感じ取った。
そこで彼は静かにオーエゲンの背中を叩いた。
そして、魔法の勉強をするために部屋に戻った。
……
2日後。
予定通り元灯節が訪れた。
この日、均流島に住む人々の石の家の前には、すべて赤い提灯が掛けられ、祝祭の雰囲気が少し増した。
マシューは気づいた。彼が最初にこの場所に来た日に出会った、人と関わるのを避けている老人も、自分の家の前に提灯を吊るしている。
彼はその人に挨拶をしに行った。さらに驚いたことに、その人は返事をしてくれたばかりか、わずかに笑顔を浮かべていた。
知っての通り、マシューはここで過ごした日々の間、全ての村の老人たちと挨拶を交わした。村人の中でも珍しい若者である彼に対し、老人たちは皆親切だったが、その中でも一人だけが無視していた。
マシューは一時、その老人が精神疾患を抱えているのか、もしくは意思疎通ができないのかと思っていた。しかしかれが今日返事をくれるなんて思わなかった。
彼はすぐさまその老人と話し始めた。それどころか、老人の反応は以前よりも激しかった。