「これは何?」アンドレアは魚の干物を噛みながら尋ねた。
灰色城の王子殿下はまた新しい物を作り出していた。銅のパイプを次々と繋ぎ合わせ、アンナに接合部を溶かしてもらい、さらにソロヤに柔らかな魔力の造物で包んでもらっていた。一見すると浴室に設置されている水道管のようだが、サイズがはるかに大きく、各パイプは自分の太腿ほどの太さがあり、ハチドリの重量軽減魔法なしでは一人では持ち上げられないほどだった。
しかも、銅のパイプは一つや二つの部屋だけでなく、城全体と魔女の塔を横断していた。各部屋の一角から入り、壁沿いに奇妙な金属製のルーバーまで繋がり、次の部屋へと続き、最後に縦のパイプと接続されていた。
この大規模な工事は多くの魔女たちの注目を集め、眠りの島からも魔女連盟からも、皆が強い興味を示していた。
「みんな、当ててみて?」王子は神秘的な笑みを浮かべて言った。「正解した人には、夕食にアイスクリームブレッドを一つ追加しよう。」
アンドレアは即座に興味を示した。アイスクリームブレッド!それはこの地で最も素晴らしい食べ物だった。外はカリッと中はふんわりと焼き上げられた二枚のパンの間に、甘い冷たいアイスクリームを挟んだもので、モーニング王国では聞いたこともない代物だった。初めて味わった時から彼女はこの食べ物に夢中になり、アッシュにどれだけ馬鹿にされても、顔を赤らめながら食べ続けた。皿の上に置いたまま眺めているだけでも苦痛だったのだから。
「部屋に水を通すためのものかしら?」アッシュは眉をひそめて言った。
相変わらず見識の狭い発言だとアンドレアは心の中で舌打ちした。銅は安価な金属ではない。浴室の細いパイプで水を通せるのに、なぜこんなに大きくする必要があるのだろうか?
しかし最近は反論しようものなら「誰が食べ物は素材の味を活かすのが一番だと言ったのかしら」と切り返されてしまう。しかもそれはティリー様の前で言ったことで、ごまかすわけにもいかず、相手の浅はかな発言を聞かなかったことにするしかなかった。
「見識が狭いわね。水を通すのにこんな大きなパイプは必要ないでしょう」後ろから声がした。「殿下はそんな無駄な事はなさらないわ。」