丁虎は驚いて相手を見つめた。彼は訓練を受けた人間だったが、部隊にいた時でさえ、彼に匹敵する者はほとんどいなかった。しかし、今回の一戦で相手の実力を感じ取ることができた。
自分に劣らない力だった。
第一ラウンドの力比べは互角だった。
実は沈大龍の驚きも彼に劣らなかった。神龍武術學校に入学してから、彼が転校生の身分で二年生に編入できたのは、彼の実力が十分に強かったからだ。
しかも、二年生に入るとすぐに二年生のトップの地位を獲得した。
今の彼は神龍武術學校の二年生全体で完全に対抗馬がいなくなっていた。
「お前、なかなかやるな」沈大龍は冷たく言った。
「お前もな」丁虎は拳を握りしめた。
「姉さんの旦那、頑張って!」袁莉は大声で叫んだ。
「もういいわ、四ちゃん。お姉さんがどれだけ心配してるか、わからないの?」馬蘭は袁莉の無神経な様子を見て言った。
「はい」袁莉は頷いた。「姉さんの旦那、気をつけて」
丁虎は右手に力を込めて沈大龍に向かって突進した。沈大龍も負けじと丁虎に向かって突進してきた。今回は硬く受け止めなかった。さっきはただの試しだったのだ。彼は軽々と自分の拳を避け、その後右拳で丁虎の腹を狙った。
「そう甘くはいかないぞ」丁虎の左拳が下から打ち出された。
沈大龍は急いで右拳を引き戻し、体を低くして丁虎の一撃をかわし、その後右足で丁虎の左脇腹を蹴った。
丁虎の体は右に二歩傾いた。
孫雯雯は心配そうに丁虎を見つめていたが、声を出す勇気はなかった。丁虎の気を散らせてしまうのを恐れていた。
丁虎は体勢を立て直すとまた前に突進した。拳を出し、蹴りを放つのは非常に果断で、雷厲風行だった。彼の爆発力と体の柔軟性は非常に強く、今の彼こそが本当に力を発揮し始めていた。
丁虎の勇猛さに比べ、沈大龍はずっと回避を続けていた。
丁虎が優勢を占めていた。
丁虎が優勢を占めるのを見て、孫雯雯の顔の心配はようやく少し和らいだ。袁莉はずっと興奮して二人の試合を見ていた。
「軍体拳、さすがだな」沈大龍は丁虎の一撃をかわしながら褒めた。