そいつは夏天に陰陽な感じを与えていて、そういうのに対処するのは非常に難しい。今そいつは誰かに助け出されたから、きっと報復してくるだろう。もし自分を探しに来るなら夏天は怖くないが、問題はそいつが林冰冰を探しに行くことだ。
しかし短期間では、そいつは林冰冰を見つけられないだろう。だから夏天はまず警察署に行って録画を見て、そいつの仲間がどんな様子か確認しようと思った。
そうすれば敵を知ることができる。
徐さんが車で夏天を警察署の入り口まで送り、錢たいちょうがそこで待っていた。
「夏さん、この事件は本当に奇妙です。信じられないほどです」錢たいちょうは夏天を見るなり急いで言った。
「見せてください」夏天は言った。
錢たいちょうは夏天をオフィスに案内した。彼はすでにその録画をコピーしていた。
ここの録画はシンプルだった。最初、夏天に足を折られたそいつは尋問室に閉じ込められていて、錢たいちょうが簡単な尋問をした以外は誰もその尋問室に入っていなかった。
そいつは何も話そうとしなかったからだ。
それに、彼と同じ部屋にいると、錢たいちょうでさえ不気味な感じがした。
夜になると、録画に黒衣の人物が現れた。黒衣の人物は外から直接尋問室のドアを開け、夏天に足を折られたそいつを抱えて連れ去った。
全てがとてもシンプルだった。
「夏さん、ここからは何も分かりませんが、説明すれば分かると思います」錢たいちょうは眉をひそめる夏天を見て説明した。
「話してください」夏天はうなずいた。
「まず、尋問室のドアは閉まっていました。そいつは鍵を開ける動作を全くしていません。神盗でも無理でしょう。それに後で鍵を確認しましたが、壊れてはいませんでした」錢たいちょうはここまで言って自分でも信じられないという顔をし、続けて言った。「次に、彼が現れた場所と去った場所には監視カメラがありませんが、そこは壁で、上に小さな換気口があるだけです。その換気口は子供しか通れないほど小さく、しかも破壊された形跡もありません」
「つまり、彼はまるで空中から現れて、また空中に消えたようだということですね」夏天は淡々と言った。