「ふん」齊帥は冷たく一声鼻を鳴らし、ドアを叩きつけて会議室を出て行った。
葉清雪は困ったように夏天を見た。夏天は本当に生まれつき厄介ごとを引き起こす天才だ。齊帥さっきの意図は、夏天にもっと印象的な名前を言わせることだったのに、夏天はこんな dramatic なあだ名をつけてしまった。
「ふふ」火吻女は冷たく笑った。彼女はもう夏天にイラつき死にそうだった。この試合はまだ始まってもいないのに、内紛が起きてしまった。
「吻さん、その竹下大郎のことをどのくらい知ってる?」葉清雪は相手のことをもっと知りたかった。そして夏天を出場させるかどうかを考えたかった。
「竹下大郎は竹下一郎の兄で、東方大學の学生ではありません。今回たまたま華夏に用事があって来ていて、弟が殴られたのを見て出てきたんです。彼は島國北辰流派最年少の空手道七段の達人です」火吻女は竹下大郎に関する情報をいくつか調べていた。
「最年少の七段の達人!」葉清雪の表情がとても厳しくなった。
「金玉は鉄じゃないよね?」夏天は疑問に思って火吻女を見た。
「まだ冗談言ってるの?言っておくけど、彼は将来北辰流主になる可能性のある人よ」火吻女は怒って夏天を見た。
「金玉は鉄なの?」夏天はもう一度尋ねた。
「吻さん、怒らないで。彼はいつもこうなの。まずは行って見てみましょう。本当にそんなに強かったら夏天を出場させないわ」葉清雪は夏天に何かあってほしくなかった。学校の名誉なんて、夏天の安全に比べたらまったく価値がない。
一行は直接試合会場に向かった。今日の試合は多くの観客を集めていて、東方大學からも大勢来ていた。
高富帥と竹下一郎も観戦に来ていた。
高富帥は車椅子に座ったまま自分で動くことができず、冰心を見かけた時に挨拶しようとしたが夏天の顔を見るとすぐにその考えを捨てた。
武術部の人は多く、彼らの応援団はさらに多かった。
観客席には武術部の百人以上が座っていて、彼らの応援団は女性が大多数を占めていた。その女性たちは同じ服を着て、旗を掲げて武術部を応援していた。スタンドにいる武術部の人たちは皆、胸を張って誇らしげで、他人をまともに見向きもしなかった。