「え?」高富帥のインストラクターは一瞬その場で呆然とした。相手が今使ったのはテコンドーではなかったが、タイミングの把握が本当に素晴らしかった。
バン!
竹下一郎が片手を横に切り、直接高富帥の首に当てて、高富帥を地面に倒した。
「ハァハァハァハァ!」高富帥は貪るように空気を吸い込んだ。さっきの一瞬、自分が死にそうだと感じ、呼吸すらできなかった。
「抗議だ、抗議だ、あれは反則だ、テコンドーじゃない。」
「抗議、抗議。」
「あれは明らかに不正だ。」
江海大學側の観客が大声で叫んだ。
「私は不正をしていません。試合開始時に高富帥君の同意を得ました。信じられないなら彼に聞いてみてください。」竹下一郎が大声で言った。
高富帥は立ち上がって言った。「そうだ、私が同意した。」
「それならば、続けましょう。」竹下一郎は高富帥を見ながら言った。
「あの竹下一郎が使っているのは空手道のはずだ。」冰心が眉をひそめた。
「空手道でテコンドーと戦うなんて、確かに卑劣だわ。」葉清雪が同意した。
「彼の実力なら空手道に偽装するのも簡単だろうが、どうやら人の自信を打ち砕くのが好きらしい。」夏天はずっとこの竹下一郎を見ていた。彼の出手は非常に速く、角度も正確無比だった。
高富帥は今回そんなに衝動的ではなく、目を竹下一郎に固定し、いつでも攻撃できる準備をしていた。
「やぁっ!!」竹下一郎は高富帥が先に動かないのを見て、自ら攻撃に出た。一撃を繰り出す。
高富帥はずっと竹下一郎を見ていたので、竹下一郎が攻撃するのを見て、右足を瞬時に飛ばした。しかしその時、竹下一郎の口角が笑っているのを見た。
「あっ!」バキッ!
骨が折れる音。
さっきの竹下一郎の拳は瞬時に引っ込め、その後全力で直接高富帥の膝を打ち、彼の膝を無理矢理脱臼させた。
「高富帥!」
「医療チーム、医療チームはどこだ。」テコンドー部のコーチが大声で叫んだ。
この光景を見て、夏天は仕方なく首を振り、その後冰心について高富帥のところへ向かった。