夏天のこの一手を見て、葉清雪と冰心は完全に度肝を抜かれた。先ほどの一撃は誰の予想も裏切るものだった。二人から見れば、夏天は威風堂々と登場し、手腕を発揮するはずだった。
しかし、まさかこんなに劇的な結果になるとは思わなかった。
一蹴り、夏天はたった一蹴りで相手を倒してしまった。この技は文字通り無敵だった。
この一蹴りがどれほど痛かったか、それは竹下一郎が一番よく分かっていた。この時、彼は故郷で今まさに咲き誇る桜を思い出した。おそらく彼の人生の後半は花と共に過ごすことになるだろう。
「反則だ、あれは反則だ」東方學院のコーチが大声で叫んだ。
「何が反則だ?俺はテコンドーをやってるわけじゃない。彼が俺に上がって来て勝負しろって言ったんだ。でも彼はあまりにも弱すぎた。俺はたった一蹴りしただけだ」夏天は無奈にうなずいた。
夏天の様子を見て、東方學院のコーチはさらに怒り狂った。これは単に強いか弱いかの問題ではない。夏天のあの一蹴りはあまりにも狡猾すぎた。竹下一郎がどれほどの実力を持っていても、それを発揮することはできなかっただろう。
古い言葉にもあるように、どんなに高い武芸の達人でも包丁は恐れる。どんなに武芸が優れていても、レンガ一枚で倒れる。
東方學院のコーチは信じていた。もし正面から対決すれば、目の前のこのやせっぽちの小僧は絶対に竹下一郎の相手にはならないはずだ。竹下一郎は彼の下で最も才能のある生徒だったのだ。
テコンドーと空手道を完璧に融合させ、その威力を最大限に発揮していた。
「卑怯だ、お前のそのやり方は卑怯すぎる」東方學院のコーチは怒鳴った。
「俺が何を卑怯なことをした?誰が喧嘩でタマを蹴っちゃいけないって言った?これが俺の家伝の必殺技なんだ」夏天は非常に不思議そうに言った。
「お前が、家伝の必殺技だって?じゃあ名前を言ってみろ。聞かせてもらおうじゃないか。降龍十八掌か?それとも蛙の功か?」東方學院のコーチは嘲笑した。
「斷子絕孫腳だ」夏天はさらりと言った。
「お前...」東方學院のコーチは崩壊寸前だった。目の前のこの小僧はあまりにも腹立たしかった。