夏天は林冰冰の腕を取って、徐さんが言っていたカジノに向かった。
いわゆるカジノは実際には普通の地下室に過ぎず、入り口には数人が座って雑談していた。
「何の用だ?」夏天が入ろうとするのを見て、一人が立ち上がった。
「徐さんに紹介されてきました」と夏天は言った。
「彼女は誰だ?」その男は夏天の隣にいる林冰冰を見た。
「もちろん、僕の彼女です」夏天は左手を伸ばして、林冰冰を抱き寄せた。林冰冰は抵抗しようとしたが、今日の任務を思い出して諦めた。しかし、それでも夏天の体をきつくつねった。
痛いけど楽しいとはこのことだ、夏天は今まさにそうだった。
この地下室に入ると、倉庫のような場所だった。さらに進むと鉄の扉があり、それを開けると中からの騒がしい声が聞こえ、あたり一面煙で霞んでいた。
「お金持ってる?」夏天は林冰冰を見た。
「何するつもり?」林冰冰は警戒して夏天を見た。
「使うんだよ」
「ダメよ、これは上のじゃなくて私の個人のお金なの」林冰冰は首を振って言った。
「大丈夫、負けたら俺の責任だし、勝ったら半分ずつだ」夏天は軽く笑った。
「約束よ」林冰冰は財布に残っていた二千元を取り出した。
林冰冰の手を引いて、夏天は近くのテーブルに向かった。このテーブルはサイコロ賭博で、大小や目の数を当てるものだった。大小だけを当てる場合、ゾロ目が出れば総取りになる。
これが最も一般的で、最も簡単な遊び方だった。
ディーラーがサイコロを振り終えると、他の人々はみな賭け金を置いた。
「大と小、どっちが好き?」夏天は林冰冰を見た。
「わからないわ」林冰冰は首を振った。
「賭けるのか賭けないのか」ディーラーはいらだたしげに言った。
「もちろん賭けますよ。妻が小を賭けると言ったから、小に賭けます」夏天はお金を小の上に投げた。
「開きます。124、五の目、小です」
「こんなに簡単に勝てるの?」林冰冰は驚いて夏天の手の中のお金を見た。
「行こう、他のも教えてあげる」夏天は林冰冰の手を引いて他のテーブルに向かった。