時間が止まった。タイムボムの時間が本当に止まったのだ。
「バカ野郎、今どれだけ危険だったか分かってるのか」林冰冰は怒って夏天に向かって歩いていった。さっきは本当に危険だった。もし夏天が間違えていたら、近くにいる全員が終わっていたところだった。
「爆発しなかったじゃないか」夏天は真面目な顔で言った。
「もし爆発していたらどうするつもりだったの!」林冰冰は怒って言った。
「本当に爆発しなかったよ。信じられないなら見てみろよ」夏天は爆弾を林冰冰に渡した。
「それは爆弾よ。私に渡して。専門家に処理してもらわないと」林冰冰は慎重に爆弾を受け取った。彼女はすでに爆破専門家を呼んでいた。
そのとき、夏天の目が一つの軌跡を捉えた。その軌跡は細く、見覚えがあった。
「これは...弾丸か。じゃあ、標的は?」夏天は軌跡を追って見た。ちょうど曾柔の方向だった。つまり、弾丸は曾柔に向かって飛んでいたのだ。素早く動いて、夏天は一瞬で曾柔の前に立ち、彼女を押しのけた。彼女が倒れる際、夏天は体を回転させて、自分の体を先に地面に着けた。
これで曾柔が転ぶのを防げた。
弾丸は曾柔が先ほど立っていた場所を通過し、彼女の背後のガラスを粉々に打ち砕いた。
「隠れろ、スナイパーだ」林冰冰は急いで叫んだ。しかし、そのとき2発目の弾丸が撃ち出された。今回の標的は曾柔ではなく、徐小隊だった。
弾丸は彼の腕を貫通した。
「徐小隊!」全員が隠れた。
「柔ねえさん、ここにいて動かないで。背後から撃ってくる奴は嫌いだ。奴を引っ張り出してくる」夏天は曾柔を柱の後ろに置いた。その場にいた他の人々も全員隠れ場所を探した。
これは冗談ではない。本物の銃弾だった。地面に倒れている徐小隊を見て、全員が本当の恐怖を感じた。徐小隊はさっきまで威張り散らしていたのに、今は弾丸に腕を撃ち抜かれていた。
今日の出来事は偶然すぎた。徐小隊は最初、曾柔を連れ戻そうとしていた。ちょうどその曾柔を運んでいた車にタイムボムが仕掛けられていた。これでは徐小隊の意図を疑わざるを得なかった。
しかし、徐小隊は今、誰かに腕を撃ち抜かれた。これは明らかな警告だった。