僕の名前はハルカ・ナカガワ。27歳の科学者だ。僕が生きているこの世界は、科学がすべての中心となる場所だ。
僕は東京科学技術研究開発センターで働いている。この場所は第二の家のような存在だ。しかし、仕事で成功を収めても、僕の中には説明できない虚しさがある。
毎朝、日の出前に目が覚める。目覚まし時計なんて必要ない。僕の体は、まるでプログラムされているかのように午前6時きっかりに目を覚ます。
日課はブラックコーヒーを一杯飲むことから始まる。そして、17階の自分のアパートの窓辺に座り、朝霧に包まれた東京の街を眺める。この街は命にあふれている。でも、なぜか僕は、街の一部ではなく観察者であるかのように感じることが多い。
「もしかして、僕たちは全員、巨大な実験の一部にすぎないのかもしれない…」
そんなことを呟きながら、コーヒーをすすり、外の世界を見つめる。
僕の質素なアパートには、研究のメモや複雑な図表で埋め尽くされた壁がある。机の上には量子物理学、分子生物学、宇宙論についての本が山積みされている。ここで僕は、夜更けまで研究に没頭している。この場所が僕を最も生き生きとさせる一方で、僕の思考を閉じ込める牢獄でもあると感じていた。
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第2章: 研究室での日常
研究室では、僕はいつも注目の的だった。社交的な性格ではない僕にとって、それは少し煩わしかった。
同僚たちは、仕事に没頭しすぎる僕の癖をよくからかった。
「一緒に昼食を食べようぜ」と、同僚のタカヒロが言う。彼はいつも僕を快適な領域から引っ張り出そうとしてくる。
僕は薄く微笑み、「君たちだけでどうぞ。昨日の実験データを確認したいから」と答えた。
タカヒロは軽く笑って僕の肩を叩いた。「お前、顕微鏡と結婚するつもりか?」
僕は冷たい人間に見えるかもしれないが、実際は同僚たちを気にかけている。新人研究者が実験に失敗した時、僕は彼らにこう言って励ます。
「失敗は学ぶためのプロセスの一部だ。もう一度挑戦することを恐れるな」と。
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第3章: 僕の幼少時代
夜になると、過去の記憶がよみがえることが多い。北海道の小さな町で過ごした幼少期を思い出す。僕は母親に育てられた。彼女は看護師として懸命に働き、僕たちを養ってくれた。生活は質素だったが、母はいつも最善を尽くしてくれた。
僕は好奇心旺盛な子どもだった。町の図書館に通い、科学の本やファンタジー物語を読むのが好きだった。しかし、すべてが変わったのは、母が癌と診断された時だった。彼女は僕が10歳の時に亡くなった。この喪失は、僕の心に深い傷を残した。
病院の庭で夜空を見上げながら、僕はそっと呟いた。
「もしこの世界に創造主がいるなら、あいつは不公平だ」
その時から、僕はこの世界を理解したいという決意を固めた。僕は、自然の不条理に壊されることのない、より良い人生を創りたいと願ったのだ。
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第4章: 人生を変えた日
その日はいつもより早く研究室に来た。重要な任務があったからだ。それは、シベリアで発見された発光するプリズムの研究だった。この物体は世界中の注目を集め、僕がその研究のリーダーを任されたのだ。
プリズムに近づいた時、何か不思議な感覚に襲われた。その柔らかな光は、まるで命を持っているかのように感じられた。
「これはただの無機物ではない…」僕はそう呟き、慎重に手袋をはめてプリズムに触れた。
しかし、その瞬間、奇妙な感覚が体を襲った。プリズムから薄い煙が立ち上り、胸が締め付けられるような感覚に陥った。
意識が遠のき、視界が暗くなっていく。周囲の世界が消え、暗闇に包まれた。
目を覚ますと、僕は無限に広がる白い空間に立っていた。床も空もなく、ただの虚無だった。
「ようこそ、ハルカ・ナカガワ」
威厳ある声が響き渡った。「君は新しい世界の創造主に選ばれたのだ」
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第5章: 僕、創造主となる
僕はその空虚な空間に立ち尽くし、何が起きているのか理解しようとした。
「お前は誰だ?」僕は声を絞り出した。虚無の中では、その声も小さく聞こえた。
「私はシステムだ」と声が答えた。「君に新しい世界を創る機会を与えるためにここにいる」
僕は言葉を失った。「僕は死んだのか?」
「その通りだ」とシステムは言った。「だが、君の人生はここで終わらない。君には何か偉大なものを創る潜在能力がある」
僕は周囲の白い空間を見回し、「もし僕が創造主だとしたら、何をすればいい?」と尋ねた。
「君は基本の要素を選び、この世界をゼロから構築していくのだ」とシステムは答えた。
僕は少し考えてから言った。「光と闇。この二つを世界の基礎にしたい」
空間が振動し始め、光と闇が調和し、美しいハーモニーを生み出した。
その瞬間、僕は大きな責任を負っていることを悟った。この世界は僕が創るものだ。
そして、僕は決して失敗しない。