彼女の涙は、彼を一瞬で制御不能にさせる。
あの夜彼女を"いじめた"過程を思い出すと、自分でも結構獣じみていたと思う。
男は彼女のピンク色で美味しそうな唇を見つめ、瞳の色が次第に深くなり、温かい指先がゆっくりと上に移動し、彼女の柔らかな唇に落ち、軽く押した。
「墨夜司……」喬綿綿は彼の目を見つめ、心臓がドキッとし、不安になった。
男の眼差しは重く暗すぎて、目に欲望も明らかすぎた。
彼女は少し怖くなった……
少女の瞳が絶えず揺れ動き、緊張のあまり、白く柔らかな小さな手を彼の胸に当て、軽く押して、彼の腕から抜け出そうとした。
掌が熱い肌に触れたとき、彼女は一瞬固まり、彼の身体にはバスタオル一枚しか巻かれておらず、上半身は裸であることに気づいて目を丸くし、その後、顔に薄紅色が広がった。
心の中では、ますます慌ただしくなった。
男女二人きりで一室にいて、しかも彼女はバスタオル一枚の男に抱かれている。
雰囲気があまりにも甘く、危険すぎた。
特に男の暗く深い目が彼女を見るとき、猛獣に狙われているような感覚があった。
彼女の心臓は激しく震え、瞳が激しく揺れた。「あなた、離して。んっ……」
言葉が終わる前に、墨夜司は頭を下げて深くキスをした。
少女の唇はいつものように甘く、彼女の唇の香りを味わうと、もう離したくなくなった。
彼の唇と舌には火が付いているかのようで、彼女の柔らかく甘美な唇に、一つ一つ更に熱い印をつけていった。
まるで野火のようなキスは、すぐに彼女の唇だけでは満足できなくなり、彼の熱く湿った唇は少しずつ下に移動し、彼女の体に更に多くの彼のものだという印をつけていった。
熱い大きな手も、彼女の細い腰に沿ってゆっくりと上に移動していった。
「ベイビー」男は彼女の首筋に顔を埋め、声が低くかすれて、情熱的に何度も囁いた。「ベイビー……」
喬綿綿は男のあまりにも激しいキスに全く対抗できず、体はふにゃふにゃと彼の胸に倒れかかった。
「んっ、墨、墨夜司、やめて……」
彼女の小さな顔は真っ赤に染まり、うっとりとした目には涙がいっぱいで、今にも泣き出しそうだった。
