Chereads / 謎めきの主 ピエロ編 / Chapter 114 - 第114章 メンバーの基準

Chapter 114 - 第114章 メンバーの基準

石油がない?それは何らかの原因で見つかっていないのか、それとも本当に存在しないのか?

ロッセール大帝が刺殺されてから今まで150年余り経つのに、いまだ石油が登場した形跡がない……?

クラインの瞳孔が収縮し、日記を握りしめた手は今にも震え出しそうだ。

石油がないと内燃機関の登場は未知数だ。そのうえ化学工業が停滞して、地球における真の近代的産業が確立されない。

それは言い換えれば、クラインがこの世界の今後の発展を予想できなくなるということだ。

彼は元々、自分は何でも少しだけ知っていて、発明や創造はできないが、その何でも少し知っているという強みを生かし、変革の方向や時代の潮流を予見できるから、給料を貯めて元手ができた暁には、有望な業界でベンチャーキャピタルを作り、リスク分散をするつもりだったのだ。

そうして、いずれ多額の財産が転がり込めば、妥当なフロント企業を代理人として国際慈善基金を設立し、表向きは貧しい人々を救済、裏では各国の労働者の抵抗を支援して社会の上層と駆け引きし、下層の人々の生活を改善しようと考えていた。

そしてもし地球に帰る方法が見つかれば、財産をベンソンとメリッサに3分の1ずつ、残りの3分の1を自分の基金に分与する。

しかし残念なことに、この素晴らしい未来への構想の大半がたった今砕け散った。

「さ、幸いこの世界には電気と磁気があって、電報という成功例もある。今後は主にそっち方面に投資しよう……」クラインは気を取り直し、1行ずつ読み進めた。

「12月21日、石油のことを考えるのはやめた。自分の序列を上げることこそ王道!」

「12月22日、リシャ旧城区の環境の劣悪さは受け入れがたい。お忍び調査で出かけていなかったら、あそこが私の若い時に見たままだなどと永遠に知り得なかっただろう。大臣たちを招集して『首都における下水道および公衆トイレ改善計画』を制定しよう。うん、それと住民の誤った習慣の是正だ。生水は飲まない、手洗い・洗顔励行、ゴミはゴミ箱に、トイレ以外で用を足さない、極力コンドームを使うことなどを徹底させよう。ハハ、いい呼び名を思いついた。愛国衛生運動だ!

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