午後のうららかな日差しのもと、衣服に砂埃をつけたままのクラインは、素早く回転式拳銃のハンマーを引き起こし、いつでも敵を狙い撃てる態勢を整えた。黄銅色の銃身が金属特有の輝きを放っている。
クラインは片手で拳銃を握り、腕を水平に伸ばし、周囲の起こり得る異変に警戒する。
同時に、隊長のダンと灰色のトレンチコートをまとったエル・ハッセンのことを少し心配していた。二人は水面下での戦いを得意とする「夢魘」で、正面対決に対応できるのかわからないからだ。
クラインが思考を巡らせているその時、エル・ハッセンは自分から歩くペースを落とし、静かで物憂げな表情を浮かべた。
そして口を開き、夜を感じさせる穏やかな詩を詠み始めた。
「ひとたび太陽が西に沈み」
「露の珠が夕暮の胸を真珠で飾るとき」
「月の光彩とほぼ同じほどに淡く」
「あるいは連れ添う星ほどに淡く」
「待宵草が今宵も華奢な花々を」
「夜露に向けて新たに花開く」
「そして光を避けるこの隠者は」
……(注1)
エルの声が響き渡ると、クラインはもう少しで緊張感を失い、完全にリラックスしてしまうところだった。
幸い、以前にも似たような経験があり、しかもエル・ハッセンと向かい合ってはいなかったため、すぐに精神をコントロールし、半瞑想状態によって「詩」の効力に抗うことができた。
ふぅ……クラインは密かに安堵した。ダンとエルは正面対決も問題なさそうだ。
昇進したばかりで、序列ポーションについてまだ理解が浅く、さっきも序列7の「夢魘」が序列8の「真夜中の詩人」から進化したものであることを忘れていた。進化は、以前の能力が完全に保持されるどころか、わずかに強化される。
クラインの「真夜中の詩人」に対する印象はすべてレオナルド・ミッチェルから来ている。この序列は同様に「眠らぬ者」の特性を受け継ぎ、格闘や射撃、クライミング、感知を得意とするだけでなく、詩のスタイルに応じて周囲の生物にさまざまな影響を与えることができる。差し詰め、狂暴な詩人だ。
エル・ハッセンの声が響く中、積み上げられた大きな木箱の傍に突然さざ波がたゆたい、黒いタキシードに低めシルクハットを被った男が現れた。