雪里に家庭教師をしているとき、彼はよく気が立っていたが、たまに肝臓が痛くなるほどイライラして、雪里に思わず頭を叩いてやりたくなることもあった。しかし、雪里は罪悪感に満ちた顔で頭を下げて膝をつき、鞭打たれるのを待つ哀れな姿を見せると、彼は何もできずに感情を抑えることしかできなかった。だからこそ、吐き気がするほど我慢した。
今では、雪里の家庭教師の役目を鈴木希に任せることになり、これが何かしら不適切ではあるかもしれないが、北原秀次は大いに安堵していた。鈴木希もきっと何かしら成果を上げなければならないだろう。そうでなければ、小ロブヘッドだけでなく、彼女自身も皮肉に耐えこたえ、激しい苦痛に耐えねばならない。
彼はロフトに戻り、素直に本を読み、メモを取り、知識を蓄積していった。広範な知識なくして、洞察力はあたかも絵に描いた餅であり、先進的な視点を持つことなど夢物語となる。
鈴木希は女の子であり、好き勝手にやってしまうこともあるが、一方で、彼女は大胆な目標を立てて、将来大いに描き上げようとしている。彼女は明らかに歴史に名を残す道を進んでいる。そして、その覇気を見て自らの刺激とする北原秀次も、今は燈籠に油を注いでいるばかり。いつの日か彼女に負けないようにするために。
どんなに汗を流し、どれだけ食事をしても、人生は常にそうだ。
彼は集中して、計画的に左右の脳を交互に使った。彼は一時的に理科のテストに取り組み、論理的思考力を活性化させた後、文学や歴史について読んで、その隠された意味を理解した。彼がなぜそう言ったのか?なぜそう行動したのか?当時の時代背景が彼にその選択を迫ったのか、または彼自身が常識を打破する勇気を持っていたのか?
彼は一気に深夜2時半までやり通した。そして目の隅をこすり、少し眠くなったことに気づいた。しかし時計を見て、まだ半時間ほど頑張ることにした。というのも、身体はまだ持ち堪えられそうだし、睡眠というものは3、4時間あれば十分だ。車の中でもうたた寝ができるのだから。
人間とは、自身に厳しいべきものだ。自分自身に厳しくなければ、他人に厳しく出来ない。厳しい者になりたければ、まず自分自身を追い詰めるべきだ。