小野陽子と百次郎の二人が食事をしている時、北原秀次はバックパックを取りに行き、本を少しだけ読む準備をした。しかし、バックパックを持ち上げた途端、彼は固まった。
このバックパックはもともと大きな穴が空いていたのだが、今ではすでに縫い合わされ、どこから見つけてきたのか分からない小さな皮切れで、彼の日本語の名前をローマ字で書いた長いリボンが取り付けられている。肌に触れると、それは非常にトレンド感があり、縫い目は非常に細かく、ミシンとほぼ同じで、それにはかなりの手間がかかっていることが一目瞭然だった。
北原秀次はバックパックを軽く撫でてみると、それが確かに丈夫であることを確認し、どのように縫いつけられたのかをじっくり調べてみたが、なかなか理解できなかった。彼自身、衣服を補修したりボタンを縫い付けたりすることはできるが、これほど上手に縫うことはできない。
これは専門家だけができるような仕事に見える。彼は驚きつつも尋ねた。「陽子、これを縫ったのは君か?」
陽子は百次郎にご飯を食べさせていたが、声を聞きたて頭を上げ、北原秀次がバックパックを手に持っていることに気づき、少し恐る恐る答えた。「はい、お兄さん、私が縫いました……」
彼女は少し自分の答えが北原秀次を気にしないか心配でもあり、急いで説明した。「私のせいでお兄さんのバックパックが壊れたから、私が新しいものを買ってあげるべきなんだけど、今は……今は買えません。だから、お兄さんの糸と針を使って繕ってみました。できるだけ目立たないようにしようと思ったけど、隙間があまりにも大きかったから、最後になってどうしようもなく……」
話すにつれて声は小さくなり、最後には頭を下げてちらりと北原秀次の顔を見て、かすかな声で言った。「お兄さんの同級生たちがお兄さんをからかうかもしれないから、それなら……」
からかわれたらどうしようもない、最終的には話している途中で声が聞こえなくなった。
「縫い方がとてもいいね、陽子。」北原秀次はすでに非常に喜んでいたが、小野陽子が自信を失っているのを見て、すぐに優しく声をかけた。「僕は明日、お店に持って行って、プロに張り直してもらおうと思ってたんだ。でも、陽子がこんなに上手に縫えるなんて、本当にすごいよ。」
「お兄さん、ダサくない?」